フッ素ゴム AFLAS®の特長
食品、半導体製造用途
アフラスサンプル 手配依頼仕事に使える情報集

ラバーステーションでは、フッ素ゴムAFLAS アフラス(旧商品名 JSRアフラス )
に注目し、その今後の応用を特集しました。

耐薬品性を使った用途展開(3) 食品用途及び半導体製造用途

食品用途

 食品や飲料を扱う工場においては、製造品種の切替時等において、各種の薬品洗浄が行われるのが普通である。例えば、

            ・希硝酸                       ………  無機物の溶解洗浄
           ・苛性ソーダ                 ……… 有機物の溶解洗浄
           ・次亜塩素酸Na           ……… 殺菌
           ・スチーム                    ……… 一般洗浄
これら4つの雰囲気に対して、十分な耐性を持つエラストマーは非常に少なく、例えば
          EPDMは次亜塩素酸Naに弱く、所謂黒水の原因となる
          H-NBRは硝酸に弱い
          FKMは苛性ソーダ、スチームに弱い
      と言った具合で、なかなか素材選びは難しい。

 AFLASは、上記全ての薬品に対して高い耐性を有しているので、この用途において非常に信頼性の高い材料と言える。ホース、ガスケット、O-リング等、色々な部品での採用及び検討が進んでいる。

半導体製造用途

 半導体製造工程においては、非常に多くの薬品が用いられており、ゴムシール材には高い耐薬品性が求められている。今回の連載で何回も指摘している通り、一般フッ素ゴムFKMは塩基性薬品に対する耐性は極めて脆弱なため、非常に高価なパーフロロフッ素ゴム(FFKM)が広く用いられている。

 しかし、パーフロロフッ素ゴムFFKMという非常に高価な材料を使い捨てしていることによるコストアップは大きく、市場からは安価な素材を求める声は以前から強くあった。

 AFLAS・アフラスがパーフロロフッ素ゴムFFKMに近い耐薬品性を持っていることは、メカニカルシール用途におけるO-リングの実績で証明されているので、半導体分野においてもパーフロロフッ素ゴムFFKMの一部を置き換えることは、十分に可能と考えている。

 アメリカにおいては、高純度を求められていない用途で、使用実績があることを示唆した記載もある。(http://www.gtweed.com/Semiconductor/PDFs/fluoraz888tib.pdf)この情報によると、以下のプロセスにおいて使用可能となっており、予想通りWetではなくDryプロセスを中心に用いられているようである。
                      ・CVD、PVD等のメタライゼーション
                      ・ドライプラズマエッチ
                      ・イオンインプラント
                      ・その他

 以下に、半導体製造工程で用いられている薬品に対する浸せき試験結果の例を示すが、FKMと比較して、その優れた耐薬品性が示されている。

28%アンモニア水(25℃ × 1000時間)

 

          

フルオン・アフラス SP  パーオキサイド加硫三元FKM  ポリオール加硫二元FKM

エチレンジアミン(25℃ × 70時間)

             

フルオン・アフラス SP パーオキサイド加硫三元FKM  ポリオール加硫二元FKM
 現在、半導体製造分野におけるフルオン・アフラスの国内実績は未だ少なく、これから用途展開を図っていくところであるが、海外の実績から考えて、用途展開は十分に可能と考えている。

Wetプロセスに関しては、溶出金属に対する要求レベルが厳しい分野であるが、先ずはスペックが緩い分野(例えば廃液ライン等)で実績を重ねながら、厳しい要求にも耐える新グレードが進む予定である。

            AFLAS・アフラスのホームページ           http://www.fluon.jp


<参考>AFLASの特徴は、いくつかありますが、他のフッ素ゴムに比べて
耐薬品性が優れている (高温での強酸、強塩基でもほとんど劣化しない)
耐スチーム性 、連続使用温度230℃可能 
電気絶縁性に優れている(体積固有抵抗率が1015 ~1016 Ω・cmと極めて良好)
ということです。

よって自動車用途では、シャフトシール用途 、シリンダーライナーシール用途、ベアリングシール用途、ディーゼルターボホース用途
 一般工業用部品では、 メカニカルシール用途、重油用途、大型エンジン用途、ケミカルポンプ及びバルブ用途、食品用途及び半導体製造用途、電線用途     
があります。
 AFLASはガソリンには膨潤するため向いていませんが、一方耐薬品性がよいため、いろいろな添加剤を含んだオイル、グリースのシール、ホース材料に最適です。
現在、AFLASの販売用途は、国内の70-80%が耐熱絶縁電線で、残りがシール材やホース、逆に、海外では電線は少なく、殆んどが耐塩基性を生かした自動車向けシール用途です。従来、国内では、金型離型性が悪いため、型物用途では展開がすすんでいませんでしたが、新品種開発で従来フッ素ゴムの加工性を実現できるようになりました。これにより、AFLASの特徴を生かし、国内外のシール材・ホース材、型物市場にAFLASが用途展開されていくことになるでしょう。
 耐塩基性がありますので、アミン系やいろいろな添加剤を含んだグリースを使用する分野、ベアリングシール、自動車シャフトシールへの応用が期待できます。従来のフッ素ゴムでは、シールゴムがグリース中の塩基性添加剤にやられ硬化してしまうこともありました。AFLASゴムはその点安心してご使用になれます。

 AFLAS・アフラスのホームページ           http://www.fluon.jp


          1.イントロダクション
          2.耐薬品性を利用した用途展開(1) 自動車中心
          3.耐薬品性を利用した用途展開(2) 一般工業用途
          4.耐薬品性を利用した用途展開(3) 食品用途、半導体用途
          5.電気絶縁性を利用した用途展開

AFLASの特長
FKM、パーフルオロゴムに対しての比較
AFLASの耐薬品性
各種薬品に対する耐久性について
AFLASのコスト優位性
パーフルオロゴムに対するコスト優位性
AFLASの用途例
フルオンアフラスの各種用途例および応用特性
AFLASの基本特性
耐油性、電気特性について
AFLASの商品グレード
商品グレードのご紹介

  耐薬品性データ1、  データ2、 いろいろな薬品に対する耐薬品性の指標
 耐熱性データ  耐アンモニア、エチレンジアミン性試験写真
 AFLASプレゼンテーション資料

 AFLAS・アフラスと一般フッ素ゴムFKMとパーフロロフッ素ゴムとの比較

AFLAS・アフラスの品種

 当初、テトラフロロエチレン-プロピレンの二元系ポリマーでスタートしたAFLASだが、その後第三成分を加えた三元系ポリマーされている。

ポリマー構造と品種
ポリマー構造 TFE/P TEF/P/VdF
品種 150L 150E 150P 100S 100H 150CS 150C SP SZ301 MZ201
比重 1.55 1.55 1.55 1.55 1.55 1.55 1.55 1.51 1.51 1.60
フッ素含有量
(%)
57 57 57 57 57 57 57 55 55 60
ムーニー粘度
ML1+10
(100℃)
35 60 95 160* 110* 130 100* 75 67 50
ガラス転移温度
-3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -13
外観 渇色 白色 黄色
加硫系 パーオキサイド 電子線 パー
オキ
サイド
ポリオール
用途、特徴 ライニング
押出し
汎用 高強度 押出し 汎用

*;ローターのスリップによる擬似ムーニー粘度

            AFLASのホームページ           http://www.fluon.jp

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<表、写真、データ、資料は株式会社旭硝子からの提供です>
以上

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更新日2005/05/02
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